ウサちゃんの日常ケア
1.食事は毎日の栄養管理の基本
歯の摩耗や、肥満にも気をつけた繊維質が豊富な乾草をたくさん食べさせてあげてください。
偏った食事や、おやつのあげすぎは病気のもとなのでバランスのとれた食事を意識してください。
2.ゲージの中は快適に
ウサちゃんは暑さや寒さに弱いので、温度管理にも気をつけて、ゲージは常に清潔にしてあげてください。
ゲージからだしてあげるときには、部屋の中に危険なものがないように注意してあげてください。
3.体はいつも清潔に
耳そうじや、ブラッシングをこまめにして、体は清潔な状態に保ってあげてください。
嫌がるときは無理をせず、コミュニケーションをとりながら少しずつ慣らしてあげてください。
ウサちゃんの健康チェック
ウサちゃんは体調が悪くても、なかなか症状には出しません。異常に早く気づいてあげられるよう日頃から健康チェックをしてあげてください。
チェックポイント
全身
- しこり、傷はないか
- お腹がふくらんでないか
- お尻が糞や尿で汚れてないか
- 体重の変化はないか
眼
- 目ヤニ、涙はひどくないか
- 腫れはないか
- 痒がるしぐさをしていないか
口
- 前歯は正常に伸びているか
- よだれはでてないか
- 食べにくそうにしてないか
鼻
- くしゃみはしてないか
- 鼻水はでてないか
- つまってないか
耳
- 汚れてないか
- 臭いはないか
- 傷はないか
- 痒がるしぐさをしてないか
被毛
- 毛ツヤはあるか
- フケはでてないか
- 抜け毛は多くないか
足
- 歩きづらそうにしてないか
トイレ
- 血が混ざってないか
- 量が多かったり少なかったりはないか
- 下痢、軟便はしてないか
ウサちゃんの健康診断
ウサちゃんの場合、5歳までは1年に1回、それ以降は年に2回のペースで健康診断を受診することをおすすめしています。
ウサちゃんに多い病気
子宮癌
ウサギの約50%は、子宮癌になると言われています。
原因
加齢による卵巣のホルモン分泌異常が原因と言われています。子宮できたポリープが、良性から悪性へと進行します。
症状
- 血尿、陰部から出血する
- 元気がなく食欲がなくなる
- 腹部が大きくなり触られるのを嫌がる
- 乳腺がはれたり、透明な乳が出る
- 呼吸困難を起こすなど
検査
触診、尿検査、血液検査、レントゲン検査をして、子宮の状態を調べます。場合によっては、超音波検査も行います。
治療
現在、有効なお薬の報告はなく、癌になる前に卵巣子宮摘出術(避妊手術)をすることのみが有効です。
予防
避妊手術をおすすめしています。
手術はどうしてもしたくないという飼主さんには2つ提案をしています。
避妊手術以外の子宮癌の予防策その1
1つ目は、生活環境の工夫です。ウサちゃんを大事にしている飼主さんには、現実的ではないですが、ストレスを与えることです。
ウサちゃんは、繁殖能力が高く、発情を繰り返す動物です。満ち足りた生活、気温、安全な家、十分な食餌、守ってもらえる飼主さんがいますと、より発情を繰り返し子宮疾患にかかる頻度が増加します。発情をさせないようにするには、ぎりぎりの環境、質素な食餌(太らせない)、飼主さんとの触れ合いを禁止することですが、飼主さんからすると少し寂しいかもしれません。
避妊手術以外の子宮癌の予防策その2
2つ目は、病気の早期発見です。
日頃から尿に血液が混じらないか、よく観察していただくことも大切ですが、子宮癌であっても血尿が出ない場合もありますので、3歳を過ぎたら、2~3ヶ月毎に定期健診をおすすめします。触診や場合によって尿検査をします。
熟練した獣医師が触診すると子宮の腫れがわかります。しかし、子宮が腫れていても、病気が必ずあるとは限らず、盲腸、膀胱などの臓器と区別がつかないこともありますので、その場合はさらに詳しい検査が必要になります。
尿石症
腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができてしまう疾患です。
ウサギは、食餌に含まれるカルシウムの大部分を腸から吸収してしまうことにより、尿に多くのカルシウムが含まれるためにカルシウムを主成分とした結石ができてしまいます。
原因
カルシウムの過剰摂取や遺伝、代謝異常、水分不足、細菌感染などが関与しています。
マメ科の植物はカルシウム含有量も多いので、チモシーなどイネ科の植物をメインに食べさせましょう。
症状
- 尿を出そうとするが出ない
- 食欲がなくなる
- 体重が減る
- 元気がなくなる
- 水をよく飲む
- 血尿がでるなど
検査
レントゲン検査、血液検査、超音波検査をして、結石の存在や腎臓の機能を調べます。
治療
薬や点滴等の内科的な治療で改善、維持していく治療と外科手術で結石を摘出する治療があります。
予防
カルシウムを多く含む食餌を与えないようにし、飲水量を増やす工夫をします。また、定期的な検査により再発を早期に確認します。
腎不全
腎不全はウサギに比較的に多くみられる疾患です。
原因
カルシウムの過剰摂取や遺伝、代謝異常、水分不足、細菌感染などが関与しています。
マメ科の植物はカルシウム含有量も多いので、チモシーなどイネ科の植物をメインに食べさせましょう。
症状
- 水をよく飲み、尿が多くなる
- 食欲が減る
- 体重が減る
- 貧血になる
- 元気がなくなる
検査
まずは血液検査、レントゲン検査、超音波検査によって腎臓の状態を調べます。
治療
重症度に応じて皮下点滴もしくは静脈点滴をします。
予防
病院での定期検査に早期発見が大切になります。
ウサギの斜頸
症状
ウサギの首が突然傾いた(捻転斜頸)、眼が揺れている(眼振)などの症状が突然に起こります。
多くのウサギが、食餌をしなくなります。
原因
平衡感覚をコントロールしている耳の内耳の前庭器官に影響がおよぶ細菌感染や、脳の前庭神経に炎症をおこすエンセファリトゾーン(原虫)が原因と言われています。
検査
血液検査、レントゲン検査、CT検査などを実施しますが、原因を特定できないこともあります。
治療
治療は、原因が特定できない場合は、駆虫薬、ステロイド薬、抗生剤などを併用します。
治療後、速やかに改善する場合、後遺症が残る場合、亡くなってしまう場合と予測がつかない場合もあります。
介護
後遺症が残った場合は、介護が大切になってきます。 人の手から食餌を食べさせる給餌が必要になり、生活場所の工夫も必要です。 捻転斜頸のため目を傷つけてしまうこともあります。
骨折
ウサちゃんの骨は軽くて薄いので骨折しやすいです。高いところからジャンプさせたり、ゲージに挟まったりなどしないようにウサちゃんにとって危険のない環境を作ってあげてください。