ワンちゃんも人間と同ように年齢を重ねるごとに、身体能力・内臓機能が衰えていきます。急に元気が無くなったり、病気になる可能性が高くなります。
少しでも長く飼主さんとワンちゃんが幸せにくらせるように高齢のワンちゃんとの過ごし方をご案内します。
高齢になったからこそ重要な健康診断
年2回の健康診断をおすすめしています。突然ご飯をたべなくなったり、元気が無くなったりと不調が現れてくる年齢です。ワンちゃんは、我慢強く病気になっても隠してしまう習性があります。
飼主さんが異変に気づき、病院に連れてこられたときには、病気が進行してしまっていることもよくあります。
定期的に健康診断を受診することが病気の早期発見につながります。
高齢のワンちゃん健康診断では、レントゲン検査やエコー検査なども組み合わせて、詳しく検査してあげてください。
何の検査をすればよいか迷った場合は病院スタッフにご相談ください。
高齢のワンちゃんに多い病気
腫瘍
腫瘍にはゆっくり増殖して他の器官などには転移しない良性腫瘍と、一気に増殖し他の器官に転移する悪性腫瘍(ガン)があります。
ワンちゃんに多いのは、乳腺腫瘍、皮膚ガン、口腔の腫瘍、肛門周囲腺腫、骨腫瘍、悪性リンパ腫等です。
僧帽弁閉鎖不全症
血液が逆流しないように働く、心臓の左心房と左心室の間の弁が変性により肥厚し、しっかり閉じなくなる病気です。
呼吸困難・咳・疲れやすい・運動を嫌がるなどの症状がでます。
腎不全
腎臓の機能障害により体内の老廃物の排泄や水分・電解質バランスの調節などに異常が生じます。
急性腎不全では急激な尿量の減少・尿閉・食欲不振・嘔吐、慢性腎不全では多飲多尿・食欲不振・体重減少といった症状がでます。
歯周病
歯と歯ぐきの間に入り込んで増殖した細菌によって歯ぐきが炎症を起こし、歯を支える部分が破壊されていく病気です。歯に溜まった歯垢や歯石が主な原因です。
変形性関節症
中高齢期の股関節・肘・膝・肩によく見られ、関節の軟骨組織がすりへったり、破壊されたりすることにより、関節が変形します。
いろいろな部位に発生して関節の動きが悪くなったり慢性的な炎症や痛みを伴います。
甲状腺機能低下症
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの機能が弱まることで起こる病気です。
元気がなくなって動作が鈍くなる、寒がりになる、脱毛、体重の増えるといった症状がでます。
高齢のワンちゃんにみられやすい変化
行動・様子の変化
- ぐったりして元気がない
- 落ち着きがない
- 飼主が認識できない
- 咳をする
- 息切れ、呼吸困難を起こす
歩き方の変化
- ふらつく、ものによくぶつかる
- 足を引きずる
- 下半身が動かない
- 段差が上がれない
- スムーズに立ち上がれない
食生活の変化
- 食欲がない
- 異常に食べるようになる
- 水を異常に飲む
- 水を飲まなくなる
- 食べ物の好みが変わる
睡眠の変化
- なかなか眠らない
- 夜鳴きをする
- 昼寝の時間が長い
- 夜の睡眠時間が異常に短い
- 睡眠中触れても反応しない
上記のような変化や、その他、体や行動の変化がみられたら、早めに獣医師にご相談ください。病気を事前に防ぐには、体が訴える小さなサインを見落とさないことが重要です。